近年はプロ野球界もストレートの球速が急激に上昇しています。
そこでストレートの平均球速に焦点を絞り、様々な視点から検討していきます。
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年々速くなるストレート平均球速
両リーグともにストレートの平均球速が年々速くなる傾向にあります。
2010年代後半からこの傾向は顕著で、大きな変化が起きていることがわかります。
2019年になるとセ・リーグがパ・リーグの平均球速を追い越しています。
「パ・リーグは速球派投手が多い」と言われますが、2019年以降は逆転しています。
① パ・リーグの球団別ストレート平均球速
パ・リーグからみていくと日本ハム以外は平均球速が右肩上がりです。
平均値を引き上げていた大谷翔平選手のMLB移籍により減速したのでしょう。
急激な順位の入れ替わりはなく、2017年以降は5チームが収束してきています。
ソフトバンクは2017年以降は頭ひとつ抜けており、予想通りの結果となりました。
② セ・リーグの球団別ストレート平均球速
次にセ・リーグをみていくと、パ・リーグと同様に右肩上がりです。
特に、DeNAと中日は顕著で、急激に高速化が進んでいることがわかります。
阪神に関しては大きな伸びはありませんでしたが、2020年は上昇傾向です。
ロベルト・スアレス投手の加入、藤浪晋太郎投手の復活が影響したと思われます。
カープをみると2020年はやや下降傾向となっています。
過去2年は150キロを超えたヘロニモ・フランスア投手が150キロを切っています。
また、2019年にブレイクした中村恭平投手が大幅に減速しています。
チームトップの2人の減速がチーム全体の平均値を下げた形となっています。
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急増する150km/hオーバーの投手たち
ここからは平均球速「150キロ越え」の投手に絞って話を進めます。
各年で見ていくと、右肩上がりに150キロ投手が増加する傾向にあります。
※ 投球イニング20以上の投手
特徴として2つの山があることに気が付きます。
ひとつ目が2017年、ふたつ目が2020年となっています。
2020年は外国人投手も日本人投手も顕著に増加しました。
特に日本人投手の割合が増加し、急激に高速化していることがわかります。
ただ、2020年は試合数やシーズン開始時期の変更がありました。
通常のシーズン143試合制であれば結果が異なった可能性もあります。
長いシーズンになれば投手の疲労も蓄積していきます。
2020年に関しては例外の年として参考値として扱うべきかも知れません。
① 外国人投手の出身国の内訳
外国人投手の内訳を見ると最も多いのがアメリカ。
ただ、傾向としてはドミニカ出身の選手が年々増加しています。
ベネズエラやキューバの選手も含め、南米出身の選手は今後も増加するでしょう。
中日、巨人、ソフトバンクなど南米出身選手を積極的に獲得するチームもあります。
カープは1990年にドミニカカープアカデミーを作り、球界の先駆者とも言えます。
そこから多くの選手が1軍で活躍しており、先見の明があったと言って良いでしょう。
② 150キロ超投手の先発とリリーフの割合
最後に平均球速150キロ超の投手の先発とリリーフの割合をみていきます。
外国人投手では先発がおらず、日本人投手では4割程度と傾向に差があります。
※ 投球イニング20以上の投手
ただ、その内訳をみると1先発投手の半分を大谷翔平選手が占めています。
大谷翔平選手を例外とした場合、2018年まではすべてリリーフ投手でした。

ただ、2019年からは2人の日本人先発投手が台頭しています。
1人目はソフトバンクの千賀滉大投手、2人目はオリックスの山本由伸投手。
彼らの台頭は、今後日本人の150キロ先発投手が登場する兆しかも知れません。
近年の急激な高速化をみると、数年後には当たり前にいる時代になるかも知れません。

ストレート平均球速と投球割合についても別記事にて記載しています。
150キロを投げる投手たちがどんな割合でストレートを投げるでしょうか。
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高校生でMAX160キロ、中学生でMAX150キロの時代に
最近では佐々木朗希投手が高校生で163キロを投げて話題となりました。
大谷翔平選手が持っていた高校生投手の最高球速の記録を更新しています。
また、2018年には中学生の森木大智投手が軟式で150キロを記録。
プロに限らず、アマチュア球界においても急激に高速化が進んでいます。

体格の大型化、トレーニングの進化、科学的なフォーム分析、栄養など。
野球に関する様々な情報がネットに溢れ、野球界は急激に変化し始めています。
150キロを投げる高校生も珍しくなくなり、140キロ投手はゴロゴロいます。
どこまでいくと頭打ちなのかわからないですが、この傾向はしばらく続くでしょう。
① MAX140キロの中学生投手が続々出現
MAXになりますが140キロを投げる中学生が続々出現しています。
以下は2020年に中学3年生となった「140キロ中学生投手」になります。
彼らが無事に育ってくれば、高校で150キロを投げるようになるでしょう。
いずれプロに入るであろう彼らが、平均150キロ先発投手になるかも知れません。
① 盛永智也投手 (小山城南中) MAX144キロ

② ハッブス大起投手 (上尾リトルシニア) MAX142キロ

③ 小玉湧斗投手 (秋田北シニア) MAX140キロ

④ 前田悠伍投手 (湖北ボーイズ) MAX140キロ

⑤ 針金侑良投手 (東練馬リトルシニア) MAX140キロ

その他の投手
篠崎国忠投手 (修徳中) MAX140キロ
松石信八投手 (佐賀フィールドナイン) MAX140キロ
渡邉聡之介投手 (千曲ボーイズ) MAX140キロ
- 盛永智也投手 / 185cm 80kg
- ハッブス大起投手 / 185cm 80kg
- 小玉湧斗投手 / 非公開
- 前田悠伍投手 / 非公開
- 針金侑良投手 / 190cm 90kg
- 篠崎国忠投手 / 190cm 87kg
- 松石信八投手 / 非公開
- 渡邉聡之介投手 / 180cm 75kg
② 球質・球速を計測するツールの紹介
最近は球質や球速を手軽に計測できる時代になりました。
Amazonなどで購入できる球速・回転数・回転軸を計測できるものは以下になります。
自分の頃は球速すら計測することが無かったですが便利な時代になりました。
これからの時代はこうしたデータを上手く活用することも必要になってきます。
球速・球質の計測に関する記事はこちら
今回のまとめ
今回はストレートの平均球速を中心に述べてきました。
プロ野球全体が右肩上がりにストレートの平均球速が上がっています。
その中でもセ・リーグのDeNA、中日の2球団の上昇が顕著でした。
また、プロ野球界のみならずアマチュア球界でも高速化が進んでいます。
野球界全体が様々なアプローチにより、この数年で急激に変化を見せています。
球速が上がることでケガの配慮も必要だが、この傾向はしばらく続くでしょう。
投手の高速化により対する打者のレベルも年々上がってきています。
お互いが相乗効果でレベルアップしながら、素晴らしいプレーを期待しています。
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