【 リスクだらけ 】YouTubeの”野球切り抜き動画”の違法性を過去の逮捕事例から考える

 

YouTubeでの野球切り抜き動画をみかけることが増えてきました。
今回はその違法性とインフルエンサーの切り抜き動画との違いについて解説します。

 

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当記事は以下の記事の詳細ページとなります。

 

流行る”切り抜き動画”と逮捕者の出現

 

昨今、SNSやYouTubeでの”切り抜き動画”が流行っておりプロ野球動画でも多くみられます。
以前からプロ野球の動画を編集して投稿する行為はよくみられましたが更に増えてきた印象です。

① “切り抜き動画”で国内初の逮捕者

 

2021年6月にYouTubeでの”切り抜き動画”で国内初の逮捕者がでました。
いわゆるファスト動画と呼ばれるもので、映画を10分程度にまとめて編集した動画です。

ファスト映画による「全体」の被害額はCODAの試算で約956億円とされています。
そうした被害額が多額に膨らんでいる現状を踏まえた上で、今回の逮捕に至っています。

結果、関わった5名が逮捕され、そのうち3名が有罪判決が下りました。
またナレーターを担当した1名は和解が成立し、賠償金1000万円の支払いを命じています。

youtube動画
参照 : 初の逮捕者も…ネタバレ“ファスト映画”違法性は?(2021年6月24日) / ANNnewsCH 【公式】

被告A (主犯) : 懲役2年、4年間執行猶予、罰金200万円
被告B : 懲役1年6ヵ月、3年間執行猶予、罰金100万円
被告C : 懲役1年6ヵ月、3年間執行猶予、罰金50万円
共犯 : 1000万円超の賠償金で和解

 

上記の刑事裁判の罰金が被害額に対して少額すぎると思う方もいるかも知れません。
これに関しては、今後の民事裁判でさらに多額の損害賠償が請求されることになるでしょう。

[ 民事と刑事の罰則 ]

罰則
民事 差し止め請求、損害賠償請求
刑事 最高懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるいはその両方

 

その他、違法アップロードの逮捕事例

 

② そもそも許可のない”切り抜き動画”自体が違法行為

 

切り抜き動画が流行る一方で、その多くが著作権侵害という違法行為に該当します。
どんな動画であれ著作権が発生し、その権利は著作者以外が許可なく利用することはできません。

  1. STEP

    複製権の侵害

    他人の著作物をコピー(複製)する行為

  2. STEP

    翻案権・同一性保持権の侵害

    加工など元の状態に手を加える行為

  3. STEP

    公衆送信権の侵害

    他人の著作物をネット上に公開する行為

 

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著作権者が許可した場合は著作権侵害にはならない

 

ただし、著作権者が許可・黙認としている場合は切り抜き動画も問題ありません。
著作者本人および管理会社が認めるのであれば、その時点で合法となるため正々堂々と行えます。

① インフルエンサーを中心に広がる切り抜き動画の許可・黙認

 

切り抜き動画はインフルエンサーの影響をきっかけに増えたといっても良いでしょう。
有名な例であればひろゆき氏、Daigo氏、HIKAKIN氏が所属するUUUMなどが代表的です。

こうした動きは主にインフルエンサー界隈で今後も広がり増えていくことでしょう。
彼らにとってはそれにより収益性も高まり、認知度を向上させるなどのメリットは多いです。

下記の外部記事では切り抜き動画の再生数ランキングが発表されています。
記事詳細を見ての通り、トップ10の顔ぶれがすべてYouTuberとなっています。

② 切り抜き動画の許可・黙認の裏にはContent IDの存在

 

YouTubeにはContent IDというシステムがあり、それが許可・黙認にも繋がっています。
切り抜き動画を認めることで、収益の一部または全てを著作権者が得ることが可能となっています。

Content ID の仕組み

  • 閲覧できないよう動画全体をブロックする
  • 動画に広告を掲載して動画を収益化し、場合によってはアップロードしたユーザーと収益を分配する
  • その動画の再生に関する統計情報を追跡する

Content ID の仕組み /YouTubeヘルプ  

 

つまり、『切り抜きは許可はするけど使用料は貰います』というシステムです。
使用料も一切なしで世界中の人が自由に使って良いですと言っている訳ではありません。

多くのYouTuberたちはYouTubeでの広告収入をメインに収益を得ています。
ですので、「切り抜き動画は無条件でご自由にどうぞ」と言っている訳ではないのです。

 

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“野球の切り抜き動画”は誰も許可も黙認もしていない

 

ここからは改めて野球切り抜き動画に話を戻したいと思います。
上記のインフルエンサーのように野球切り抜き動画は許可・黙認はされているでしょうか?

① NPB・球団・放送局・配信会社は「違法行為」と明記

 

調べる限り、NPB・球団・放送局・配信会社すべて許可・黙認していませんでした。
許可・黙認していないというよりも違法行為であるとの記載があり法的処置の文言も記載しています。

 

著作権者が認めていない限りは違法行為として著作権侵害が適応されます。
上記のインフルエンサーたちとの違いは「許可・黙認するかしないか」によるものです。

 

② なぜインフルエンサーは切り抜き動画を許可できるのか

 

なぜインフルエンサーたちは簡単に切り抜き動画を許可できるのでしょうか?
ここからは収益性・認知度向上などメリット以外の「権利」に注目して話を進めていきます。

多くのYouTuberは自分たちが出演し、自分たちで撮影編集しを行います。
この場合、著作権のすべては自分たちに存在し、動画をどう扱うかの全権を持っています

そのため、切り抜き動画を許可するかどうかも自分次第で決定することが可能です。
どこかに許可をとる必要もありませんし、禁止にしたくなった時はいつでも変更できる訳です。

著作権を持つということはそうことで、すべてにおいての決定権が存在します。
許可・黙認するケースの多くが個人(所属会社含む)で撮影したものが多いことからもわかります。

 

単独ライブ配信の場合、動画編集すらもしないので100%個人に権利が集中します。
そうなった場合は個人が好きなように決定することができ、好きなように扱うことが可能です。

そもそも切り抜きOKの人たちもテレビ出演時の映像もOKとは言っていません
あくまでも”自分で撮影した管理しているYouTube動画に対して許可”しているに過ぎないのです。

 

③ “切り抜き動画OK=無許可OK”ではない

 

とはいえ、ひろゆき氏やDaigo氏に関しても管理事務所に申請が必要です。
切り抜き動画を許可しているとは言っても、無断で自由に使用はできない訳です。

その詳細は下記リンクで割愛しますが、細かい条件のもと許可されています。
氏名やメールの登録はもとより、審査をクリアしないと認めないという条件付きです。

 

実際に無許可で投稿された切り抜き動画は削除されています。
また、許可を得ていても元動画のURLを添付していない場合も削除しているようです。

切り抜き動画OKといっても著作権者に”許可”がない場合はNGということです。
こうした認識の無い人も多いようですが、裏ではちゃんとしっかりとルールがあります。

ガジェット通信のルール

youtube動画
参照 : 【詳細は動画を確認】ひろゆきのやってる切り抜きシステムを僕の無料公開動画でもOKにします。/ OTAKING infomation / 岡田斗司夫

 

④ テレビ映像やネット配信は「権利の束」

 

テレビ映像や企業のネット配信(個人レベルを除く)は権利の束とも言えます。
映像は単純にテレビ局だけでなく、制作会社や出演者など多くの人が関わり権利が発生します。

テレビ局は映像を放送するために、それらすべての権利をクリアした上で放送されています。
様々な条件に対して契約を結ぶことで成立しており、映像として手元に届く仕組みとなっています。

毎日休みなく放送される放送番組は、その一つ一つが“権利の束”であり、放送番組制作に携わる多くの権利者の創作活動により成り立っています。放送局は、これらの権利者の許諾等をとったうえで、番組制作を行う必要があります。

放送番組に関する権利処理 / 一般社団法人 日本民間放送連盟 (※ 規約によりリンクはトップページ)

 

ですので、個人レベルの撮影のように簡単に切り抜き動画を許可することはありません。
もしテレビ局などが勝手に許可した場合、テレビ局側が他の権利者から訴えられる可能性があります。

 

⑤ 投稿できれば「YouTubeが許可した」は勘違い

 

Google公式プロダクトエキスパートの竹中文人さんは以下のようにツイートしています。

 

投稿できたことで権利をクリアできた訳ではなく、著作権侵害であることに変わりありません
著作物の使用を許可するかどうかの権利はYouTube側にはなく、それは著作権者が決めることです。

ただし、著作権侵害に対してYouTube側が決められることがあります。
それは違反動画の削除と違反アカウントに対するペナルティやそれ以降の監視体制です。

何度もチャンネルを作りなおして著作権侵害を行うアカウントは監視されています。
詳しい内容までは解説しないですが、過去のペナルティはすべて記録して残されています。

 

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“野球切り抜き動画”で逮捕や裁判の可能性

 

ここからは野球切り抜き動画で逮捕や裁判になる可能性について考えます。
説明してきたようにほぼ答えはわかっているかと思いますが改めて整理していきます。

① 野球切り抜き動画で訴えられた時点で有罪・損害賠償

 

結論から言えば、訴えられた時点で確実に有罪・損害賠償請求となるでしょう。
その中身は程度により変わってきますが、無許可の時点で完全に違法行為とみなされます。

「宣伝になる」などどんな理由をつけたとして正当性が認められることはないでしょう。
個人の思いや立場に関わらず、それが違法であれば法律にのっとる形で適切に裁かれます。

著作権侵害と聞くと違法性がないように感じてしまうかも知れません。
しかし過去に多くの裁判事例がある通り、著作権者が訴えれば99.9%負けです。

[ 民事と刑事の罰則 ]

罰則
民事 差し止め請求、損害賠償請求
刑事 最高懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるいはその両方

 

特に以下のようなケースであれば悪質性が高いと判断されても仕方ありません。
これらは違法行為であるという認識の上で”故意に行っている”と判断されるでしょう。

  • テレビ局・配信会社のロゴなどを隠す
  • 音声をズラしたり削除する
  • 画像周囲をトリミング加工する
  • アカウント削除後も新規アカウントで繰り返す

 

② YouTubeの広告収入を得ている場合は尚更アウト

 

野球切り抜き動画の一部ユーザーは“収益化すること”が目的かと思われます。
収益化せず投稿することも違法ですが、収益化している場合はさらに訴えられる確率は高くなります

収益化していれば尚更、損害賠償の請求額は増え有罪判決も重くなるでしょう。
過去には2018年に比較的少額とみられる6万円を稼いだケースでも逮捕されています。

 

違法な収益額が多いか少なかに関わらず、著作権者が訴えるかどうかです。
いくらもうけていると訴えられ、いくらまでなら訴えられないというものではありません。

多額な収益では無いし、他にも稼いでいる人はいると安易に思いがちです。
しかし、そんなことは一切なく収益化・非収益化に関わらず違法行為に変わりありません。

そもそも、野球の切り抜き自体で大きく稼ぐことはできるのでしょうか?
野球切り抜きYouTuberで大きく稼いでいる人が誰もいない事実がそれを表しています。

ほんとに稼ぎたいのであれば、世界的にマイナーな日本のプロ野球を選ぶ時点でアウト。
逮捕や裁判のリスクを背負ってまでたいして稼げないことをする理由があるのかと感じます。

 

③ 削除回避をするほど”故意によるもので悪質”と判断

 

最近は様々な方法を使って削除回避を行っているチャンネルも存在します。
ただ、そこまでしていると犯罪だと知っていて”故意”に行っていると判断されます。

無知で違法アップロードしてしまったという理由は完全に通用しない状態です。
つまり、回避すれば回避するほど悪質であると判断され、摘発リスクはあがります。

もし裁判になった場合は、故意である点も加味されて判決がくだります。
仮に逮捕や裁判となれば刑の重さや損害賠償請求の額があがる材料になります。

削除回避を行うことが自らの首を絞める結果になります。
巧妙な手口ほど何かあった時に大きな代償を生むということも理解が必要です。

 

④ 人気になればなるほど逮捕や裁判のリスクもあがる

 

仮に収益化が上手くできたとしても、人気チャンネルでなければ収益は微々たるものです。
そのため切り抜き動画は躍起やっきになって次々と動画を投稿し、人気チャンネルを目指していきます。

本人はどんどん視聴回数が増えてテンションがあがり高揚感に浸るかもしれません。
しかし、人気が出れば出るほど人の目に触れ、通報されたり著作権者に見つかる機会も増えます

また、2022年からサイバー警察も大幅に強化され取締りも厳しくなる可能性もあります。
野球切り抜き動画で上手くいけばいくほど逮捕や裁判のリスクはどんどん高まるでしょう。

インフルエンサーの許可がある切り抜き動画とは違い、100%違法行為として扱われます。
つまり、違法な切り抜き動画で稼ごうとする時点で無茶な選択をしていることになります。

とてもじゃないけど切り抜き動画で稼ごうとか”賢い選択ではない”と言えます。
逮捕されて実名や顔が公開され、まとめサイトに家族や職場まで掲載されるってゾッとします。

 

わかりやすい動画の紹介

YouTuberのメシのタネさんの動画が優秀なのでチャンネルに飛んで視聴して下さい。

youtube動画
参照 : 【スカッと】切り抜き動画を無断転載して儲けた男の末路…違法アップロードで訴訟【漫画/マンガ動画】【メシのタネ】/ メシのタネ

 

「違法アップロードの報告方法」の記事を読む

 

⑤ 違法性の高い場合は”サイバー警察”へ

 

サイバー警察はネット上で起きる犯罪に対して取締りをおこなっている警察の部署です。
誰でも情報提供を行うことができ、悪質性の高いものに関しては警察が対応してくれます。

大規模な著作権侵害、アカウント停止後も新アカウントで著作権侵害を繰り返すなど。
また、大規模な著作権侵害により広告収入を稼いでいるなど違法性の高いものも該当します。

実際にファスト映画の場合は警察から映像管理団体に連絡が入っています。
警察も違法なYouTubeチャンネルをチェックしており、著作権者に報告を行っています。

 

情報提供はこちらから

 

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今回のまとめ

 

今回はYouTubeの野球切り抜き動画について話を進めてきました。
インフルエンサーをきっかけに切り抜き動画は以前より大きくみられます。

しかし、切り抜き動画自体は許可がなければ著作権侵害となる違法行為です。
野球中継はインフルエンサーたちのように許可や黙認している訳ではありません。

まったく何も知らずに投稿する人、認知した上で投稿する人さまざまです。
ある日突然、逮捕や裁判と向き合うことになり後悔しないように気を付けましょう。

 

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