【 プロ野球の誹謗中傷問題 】楽天、ソフトバンク、巨人、DeNAなどが”法的措置”を示唆

JEY(ジェイ)

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プロ野球界も選手などへの誹謗中傷が問題視され始めました。
今回は球団から発表された事例からプロ野球の誹謗中傷について検討していきます。

 

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立て続けにソフトバンク、巨人、DeNAが警告

 

4月22日以降、3球団から公式Twitterで誹謗中傷に対する警告がありました。
昨今、誹謗中傷が社会問題とされる中、プロ野球もその対策を講じ始めています。

ソフトバンクホークスからの警告

読売ジャイアンツからの警告


DeNAベイスターズからの警告 

 

① ソフトバンクは2020年10月にもTwitterで警告

 

調べてみると、ソフトバンクは2020年10月16日にも警告していたようです。
今回改めて警告したということは、警告後も誹謗中傷が止まらなかったのでしょう。

ソフトバンクホークスからの警告 

 

② 楽天は2020年7月にTwitterと公式サイトで警告

 

楽天は2020年7月に特定の選手に対する誹謗中傷を受けTwitterで警告しました。


同時に楽天は公式サイトに「SNSガイドライン」を掲載しました。

SNSガイドライン (禁止事項)

球団、及び選手、スタッフ、職員、参加ユーザー、その他第三者に対する誹謗中傷行為と受け取られる行為、不利益・損害等を与える行為、その危険性が予見できる行為・投稿。

投稿内容に法的な責任が発生すると判断した場合、投稿者の調査および特定、警察への届け出等の措置を行う場合がございます。

楽天ゴールデンイーグルス公式サイト

 

 

③ プロ野球球団の誹謗中傷に対する公式発表

 

確認したところ、Twitter上で正式に警告があったのは3球団のみでした。

[ セ・リーグ ]

公式発表の状況 補足
カープ ※ 公式Twitterなし
巨人 2021/4/23に公式Twitterで警告
DeNA 2021/5/6に公式Twitterで警告
ヤクルト
阪神
中日 公式Twitterのプロフィールに記載
(法的措置の記載なし)

[ パ・リーグ ]

公式発表の状況 補足
ソフトバンク 2020/10/16に公式Twitterで警告
2021/4/22に公式Twitterで警告
西武
楽天 公式サイトに記載
ロッテ
日本ハム 公式Twitterのプロフィールに記載
(法的措置の記載なし)
オリックス

 

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誹謗中傷とは?批判との違いは?

 

そもそも「誹謗中傷」の定義とはなんでしょうか。

誹謗中傷とは、根拠のない悪口を言いふらして他人の名誉を損なう行いのことである。「誹謗」は「人の悪口を言う」ことであり、「中傷」は「根拠のない内容で人を貶める」ことである。

新語時事用語辞典 (weblio辞典内)

 

調べると少し文章が違うものもありましたが、おおむねこのような内容です。
つまり、根拠なく悪意を持って人を傷つけるといった発言を指しています。

① 誹謗中傷と批判の違い

 

似た言葉として「批判」があり、誹謗中傷との違いについては以下となっています。

「批判」は善悪や正誤を見定めた上で指摘することであり、必ずしも悪意が含まれるとは限らない。他方、「誹謗中傷」は相手を貶めるという悪意が先行し、悪意によって行われる所業である。

新語時事用語辞典 (weblio辞典内)

 

2つの違いの焦点としては以下があげられます。

  • 悪意が含まれているか否か
  • 正当な根拠が存在するか否か

 

② 根拠や事実があっても誹謗中傷に

 

ただ、根拠さえあれば何を言っても良いかと言えばそうではないと思います。
たとえば、打てていない選手に対して、以下のような発言があったとします。

JEY(ジェイ)JEY(ジェイ)
打てないならもう野球辞めろ、ボ〇!
少しは頭使って野球しろよ、マジで〇えろ。

〇の部分は伏せさせてもらいますが、おのおので想像して下さい。
このような場合は、“打てていない事実”があっても誹謗中傷になるでしょう。

打てていないという”事実の部分”と”誹謗中傷の部分”が混在しています。
このように根拠や事実さえあれば、何でもありという訳ではありません。

 

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国内外のサッカー界でも誹謗中傷が問題に

 

サッカー界でもSNSなどでの誹謗中傷が問題となっています。
ここではJリーグの事例と海外リーグの事例を紹介していきます。

① ヴィッセル神戸がSNSガイドラインを策定

 

2021年5月7日にヴィッセル神戸がSNSガイドラインの制定を発表しました。

SNSガイドライン (禁止事項)

クラブ及び選手、スタッフ、ユーザー、その他第三者に対する誹謗中傷行為と受け取られる行為、不利益・損害等を与える行為、またはその危険性が予見できる行為・投稿。

投稿内容に法的な責任が発生すると判断した場合、投稿者の調査および特定、警察への届け出等の措置を行う場合がございます。

ヴィッセル神戸公式サイト

 

楽天が発表した文面とほぼ同じ文面なのはお気づきかと思います。
ヴィッセル神戸は2014年12月から楽天株式会社が全株式を取得したためです。

ヴィッセル神戸においても関係者に対する差別発言や誹謗中傷があるとのこと。
中には見逃すこともできないような記述もあり、法的措置も検討するようです。

 

② Jリーグが誹謗中傷防止を映像配信で呼びかけ

 

チームだけでなくJリーグ全体として誹謗中傷防止に取り組んでいます。
その一環として、元Jリーガーの前園真聖氏を起用して映像を使い呼びかけています。

youtube動画
参照 : 前園真聖さんが25年前を再現「ネットいじめはサイテーだよ。カッコ悪いよ。」Jリーグ SNS誹謗中傷防止啓発映像 / Jリーグ公式チャンネル 【公式】

 

その他、Jリーグ所属の各クラブでも公式に注意喚起しています。

 

また、観戦マナー&ルールの中でも差別的・侮辱的発言を禁じています
プロ野球に比べてJリーグは組織としてしっかり対応している様子がみてとれます。

youtube動画
引用元 : JFA・Jリーグ観戦マナー&ルール / Jリーグ公式チャンネル 【公式】

 

海外では「ソーシャルメディアボイコット」の動き

 

海外のスポーツリーグではSNSに対する抗議運動が起きています。
プレミアリーグで始まった運動を国際テニス協会も賛同する形となっています。

① プレミアリーグで始まった「ソーシャルメディア・ボイコット」

 

プレミアリーグでは「ソーシャルメディア・ボイコット」が実施されました。
ボイコット活動の期間は2021年4月30日から2021年5月3日の4日間行われています。


試合自体は行われましたが、SNS上での告知は一切行わなかったとのこと。
発端はSNSでの差別発言や誹謗中傷が後を絶たず、その抗議活動のようです。

いかなる人種差別的行為も許容できず、これまで選手たちがソーシャルメディア上で受けてきたこのうえなくひどい中傷がこれからも続いていくなど言語道断である

ソーシャルメディア・ボイコットに関する声明文 / Liverpool Football Club

 

SNS運営会社のみならず、政府に対しても対策を要請してます。
国をあげて取り組まないと改善しない状況まできているようです。

また、オンライン上でファンが通報できるシステムも導入。
ファンとリーグが一体となって問題解決に取り組む姿勢がみられます。

☑ その他、誹謗中傷に関する記事

 

② 国際テニス連盟も「ソーシャルメディア・ボイコット」

 

また、国際テニス連盟も「ソーシャルメディア・ボイコット」を実施しています。
上記のグランドサッカー協会(ITF)に賛同したもので、実施期間は同じく4日間です。

 

2013年にはレベッカ・マリノ選手がSNSの誹謗中傷を理由に引退しています。
5年の期間を経て現役復帰をしましたが、当時のことをYouTubeでも語っています(英語)。

youtube動画
参照 : Tennis Channel Live: Rebecca Marino TenniStory / Tennis Channel 【公式】

 

現在も日本人選手などへの人種差別発言が問題視されています。
テニス選手への人種差別や誹謗中傷は後を絶たず、国際テニス連盟も動き始めました。

 

東京オリンピックでは誹謗中傷を事前対策

 

また、2021年の東京オリンピックに向けても動きが見られます。
実際に起こりうることを想定して事前に対策に取り組む姿勢となりました。

① JOCが”誹謗中傷監視チーム”を設置

 

日本オリンピック委員会(JOC)も五輪選手への誹謗中傷を問題視しています。
昨今のスポーツ選手に対するSNSでの誹謗中傷をJOCも危惧しているようです。

Twitter社などと連携することで監視体勢に入るとのこと。
こうして事前に対策に取り組む動きもみられるようになりました。

 

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誹謗中傷の法改正と罰則について

 

ここからは誹謗中傷による罰則について解説していきます。

① 法改正でIPアドレスの開示が容易に

 

2021年4月21日にプロバイダ責任制限法の改正されました。
これにより”インターネットの住所”であるIPアドレスの開示が容易になりました。

これまではSNS会社と通信事業者に対し2つの裁判を行い、開示を行っていました。
法改正により裁判所に申し立てを行うことで、裁判所が判断して開示命令を行います。

以前は1年以上かかった開示が改正後は数か月まで短縮されることになります。
同時に、通信記録が削除されないようデータ保持の指示も可能となりました。

youtube動画
参照 : インターネットやSNSでの誹謗中傷。投稿者の特定を速やかにする!【プロバイダ責任制限法】/ 弁護士中野秀俊のYouTube法律相談所【公式】

 

② プロ野球界を始めスポーツ界にも波及

 

テレビ番組の問題から発展したSNSでの誹謗中傷問題。
今後はプロ野球を始め、スポーツ界にも広がることが予想されます。

スポーツは勝敗が絡むため、みる側も熱が入りやすい特徴があります。
そのため、誹謗中傷の対象になりやすく、以前から問題視されていました。

プロ野球に関しては昔からその対象であったのは確かでしょう。
以前は球場で選手とファンが喧嘩するような場面もよくみられました。

SNSがない時代には球場内や報道のみでおさまっていました。
しかし、現在は“文章”として球団や選手が直接目にするようになりました。

同時にネット上に投稿することで”データ”として記録されてます。
つまり、投稿自体を削除しても証拠は残っており、裁判もしやすい状況です。

実際に2018年にはプロ野球の奥さんに対する誹謗中傷で裁判が行われています。
今後はこういった裁判はプロ野球界でも散見されるようになるかも知れません。

 

③ 誹謗中傷による罰則

 

では、実際に誹謗中傷の場合どんな罰則があるのでしょうか。
一般的に罰則として言われているのは以下の3つになるかと思います。

脅迫罪 (きょうはくざい)

 

脅迫罪の概要と罰則は以下の通りです。

[ 刑法222条 ]

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

名誉棄損罪 (めいよきそんざい)

 

名誉棄損罪の概要と罰則は以下の通りです。

[ 刑法第230条 ]

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければならない。

侮辱罪 (ぶじょくざい)

 

侮辱罪の概要と罰則は以下の通りです。

[ 刑法231条 ]

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

補足 : 拘留とは1日以上30日未満(刑法16条)、科料は1000円以上10000円未満(刑法17条)

 

上記の通り、脅迫罪と名誉棄損罪は罰則として重いものです。
現在は国や警察も積極的に取り組んでおり、立件される可能性も高くなっています。

また、侮辱罪も刑の軽さが問題視されており、厳罰化へ法改正の動きがみられます。
時効も1年から3年に延長されることでこれまでより摘発される例が増加する見込みです。

[ 侮辱罪の法改正案 ]
法定刑 時効
現行法 拘留(1日以上30日未満)、または科料(1000円以上1万円未満) 1年
法務省案 1年以下の懲役か禁錮、または30万円以下の罰金 3年

 

④ 公的機関による誹謗中傷の相談先

 

国では総務省、法務省、厚生労働省が相談窓口を設置しています。
ただ、基本的に本人のみのようなので、選手の場合は所属先に連絡しましょう。

公式サイト
総務省「違法・有害情報相談センター」 https://ihaho.jp/
法務省「インターネット人権相談受付窓口」 https://www.jinken.go.jp/
厚生労働省「まもろうよ こころ」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
一般社団法人セーファーインターネット協会 https://www.saferinternet.or.jp/bullying/

 

その他誹謗中傷に対する動き

インスタグラム責任者「ひぼうや中傷起きにくい環境を作る」/ NHK
グーグルと法務省 不適切な投稿削除に向けた情報共有で連携へ / NHK

 

ネット上の誹謗中傷問題に関しては山田太郎議員が積極的に活動されています。

youtube動画
参照 : 《Law121》どうなる?匿名表現の自由〜ネット上の誹謗中傷等対策小委員会、副委員長に就任!〜 / 【参議院議員】山田太郎 【公式】

 

 

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今回のまとめ

 

今回はプロ野球の誹謗中傷問題について解説しました。
近年は誹謗中傷が社会問題となり、国会でも取り上げられています。

プロ野球は昔から誹謗中傷の対象となりやすかった印象です。
ファンも応援に熱が入りやすく、ついキツイ表現になってしまいます。

しかし、現在はSNSで選手本人や家族も目にする機会が増えました。
以前のように球場でのヤジや家庭や知人に話すのとは異なっています。

誹謗中傷は内容によっては重い罰則が待っています。
野球ファンとしてルールを守りながら応援しましょう。

 

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