【 2020年版 規定投球回数達成者 】減少続く先発の投球回数と変化する”先発投手の価値観”

JEY(ジェイ)

JEY(ジェイ)

 

2019年の公式戦も終わり、規定投球回数達成者が決定しました。
今回は規定投球回数を中心に先発投手の投球回数を中心に話を進めていきます。

 

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減り続ける「規定投球回数」達成者

 

2005年以降の12球団の規定投球回数達成者をグラフ化しました。
2005~2012年の間は達成者数は上下動しており、特に傾向はありません。

しかし、2013年からは右肩下がりに減少傾向を示しています。
特に2018年からは急激に減っており、明らかに大きな変化が起きています。

 

① リーグによる違いはあるのか?

 

ある程度の上下動はありますが、両リーグともに減少傾向です。
セ・リーグに関しては2013年からきれいに漸減しているのがわかります。

パ・リーグも2017年以降はセ・リーグと同様にきれいに漸減しています。
2019年のパ・リーグ、2020年のセ・リーグは過去最少6人となっています。

 

② 2014年以降の規定投球回達成者の達成回数

 

2014年以降の規定投球回達成者の達成回数をグラフ化しました。
すでに引退や退団した選手もいますが、記録して掲載しています。

 

12球団トップは菅野智之投手、涌井秀章投手、西勇輝投手の3投手。
次いで、現役投手では則本昂大投手、大野雄大投手になっています。

過去7年で達成回数が5~6回はかなり優れた先発投手と言って良いでしょう。
規定投球回数を達成したということは多くのイニングを消化したことになります。

同時に、大きなケガはなく、1年間安定して投球できているからこそ。
高いスキルとコンディショニング維持があったからこそ達成できる記録と言えます。

 

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先発投手の投球回減少と100球制限

 

規定投球回数達成者の減少する理由としていくつか考えられます。
ここからはそれに関係してくる投球回数と防御率について紹介していきます。

① 先発投手全体の投球回も減少

 

ここでは規定投球回達成者以外の先発投手も加えて考えていきます。
2020年は120試合制に変更したため、143試合相当の1.9倍で計算しています。

規定投球回達成者数の減少だけでなく、先発投手全体の投球回も漸減しています。
セ・リーグは2016年以降から減少、パ・リーグは2019年から急激に減少しています。

 

“先発”する投手の変化

近年のトレンドで「オープナー」など投手起用に変化が生じています。
これらの影響により先発投手の投球回数が減少したことも考えられます。

 

② 先発投手の防御率は年々悪化

 

投球回数と同様に先発全体の防御率も悪化する傾向がみられます。
ただ、異例の年となった2020年は両リーグともに改善傾向を示しました。

感染症の影響によりシーズン143試合制から120試合制に変更。
試合数減少により投手にとっては疲労面で好影響だった可能性があります。

ひとまず、2020年に関しては参考値としてみる方が良いかも知れません。
2021年以降にどう変化するかによって2020年の評価が判断されるでしょう。

 

防御率が悪化していれば、当然ながら投球回数は減少していきます。
打たれることが増えれば球数自体も増えますので当然と言えば当然です。

 

③ 常識となった「100球制限」と「投手分業化」

 

MLBの影響から現在では先発投手は100球を目途に先発投手は降板します。
どの球団もこの「100球制限」を取り入れており、球界では常識となっています。

それに伴い、球数が多い投手は長い投球回を投げることが難しくなりました。
制球難のある先発投手のみならず、奪三振の多い先発投手でも球数を要します。

少ない球数で打ち取っていくタイプの投手が有利な時代となっています。
こうした背景もあり、現在の規定投球回数到達者の減少に拍車はくしゃをかけています。

また、近代のプロ野球界では投手の分業化が進んでいます。
以前のように先発完投への価値観は変化し、完投数も極端に減少しています。

球数制限や分業化により先発投手の投球回は減少するのは当然でしょう。
野球のスタイルや価値観が変わる中、規定投球回をどう捉えていくかは課題です。

[ 完投数に関する記事 ]

 

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2019年から導入された「MLB発の新制度」

 

近年では先発の登板パターン自体に変化が出ています。
主にショートスターター、オープナー、ブルペンデーの3つを紹介します。

① 日本ハムは「ショートスターター」を多用

 

日本球界では日本ハムがショートスターターを積極的に取り入れています。
ショートスターターは本来は先発投手が4回を目途に登板し、第2先発につなぎます。

つまり、先発投手ができる投手を1試合に2投手用意し継投していくスタイルです。
2019年の開幕当初は斎藤祐樹投手、加藤貴之投手、金子千尋投手などが務めました。

ただ、戦略として上手くいっているようには感じない印象です。
そして2021年にはショートスターターもあまりみられなくなっています。

 

② DeNAや巨人は「オープナー」を採用

 

MLBでは「オープナー」という中継ぎ投手を先発させる戦術があります。
近年はトレンドとして強打者が上位打線に並ぶことが多くなってきています。

そのため、1~2回は勝ちパターンのリリーフが登板して上位打線を抑えていく。
本来の先発投手は2~4回の少し楽な場面から登板するという継投スタイルです。


DeNAでは2019年に国吉佑樹投手、2020年にスペンサー・パットン投手が登板。
また、巨人では2020年に宮國椋丞投手が登板する機会もありました。

[ 2019年以降のオープナー登板 ]

登板試合 内容
国吉佑樹 (DeNA) 2019年4月21日 vs カープ戦 1回 自責点4 (失点4)
堀瑞輝 (日本ハム) 2019年8月4日 vs ソフトバンク戦 1回 自責点0 (失点0)
堀瑞輝 (日本ハム) 2019年8月6日 vs オリックス戦 1回 自責点0 (失点0)
堀瑞輝 (日本ハム) 2019年8月11日 vs ソフトバンク戦 1回 自責点0 (失点0)
堀瑞輝 (日本ハム) 2019年8月13日 vs ロッテ戦 1回 自責点0 (失点0)
堀瑞輝 (日本ハム) 2019年9月23日 vs ロッテ戦 1回 自責点2 (失点3)
宮國椋丞 (巨人) 2020年8月9日 vs 中日戦 2回 自責点2 (失点2)
スペンサー・パットン (DeNA) 2020年9月3日 vs 巨人戦 1回1/3 自責点7 (失点9)

 

③ 中継ぎでつなぐ「ブルペンデー」制度も

 

他にも「ブルペンデー」という制度も存在します。
文字通り、リリーフ投手のみで1試合をつなぐ戦術で先発投手は休養日です。

[ 2019年以降のブルペンデー登板 ]

登板試合 内容
佐藤優 (中日) 2019年4月27日 vs 阪神戦
※ 笠原投手のケガにより
3回 自責点3 (失点3)
唐川侑己 (ロッテ) 2019年7月10日 vs 日本ハム戦
※ ボルシンガー投手のケガにより
1回 自責点0 (失点0)
山田修義 (オリックス) 2019年9月5日 vs 西武戦 3回 自責点1 (失点1)
澤村拓一 (巨人) 2019年9月14日 vs カープ戦 3回 自責点0 (失点0)
笠谷俊介 (ソフトバンク) 2020年8月6日 vs 楽天戦 2回 自責点0 (失点1)
笠谷俊介 (ソフトバンク) 2020年8月9日 vs 楽天戦 3回 自責点0 (失点0)
武藤祐太 (DeNA) 2020年8月10日 vs 阪神戦 3回 自責点1 (失点1)
吉田一将 (オリックス) 2020年8月15日 vs オリックス戦 3回 自責点0 (失点0)
笠谷俊介 (ソフトバンク) 2020年8月20日 vs ロッテ戦 4回 自責点0 (失点0)
吉田一将 (オリックス) 2020年8月20日 vs オリックス戦 3回 自責点2 (失点2)
平井克典 (西武) 2020年8月20日 vs 西武戦 5回 自責点0 (失点0)
風張蓮 (ヤクルト) 2020年9月3日 vs 阪神戦 2回 自責点2 (失点2)
藤浪晋太郎 (阪神) 2020年10月28日 vs 中日戦 4回 自責点1 (失点1)
松本裕樹 (ソフトバンク) 2021年4月11日 vs 楽天戦
※ 千賀滉大投手のケガにより
4回 自責点0 (失点0)

ただ、仮にリリーフ投手だけでつないだとしても記録上は「先発投手」
少ないイニングで交代してしまえば、先発投手のイニング数平均に影響します。

youtube動画
引用元 : 【DeNA】国吉佑樹 投打で活躍し3連勝!救援投手だけでつなぐ“ブルペンデー” / テレビ東京スポーツ

 

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規定投球回数の概論

 

1リーグ制の1936年から採用され、現在の基準となったのは1966年からです。
ただし、年間試合数の変更によって達成ラインは度々変更されてきています。

[ 規定投球回数の規定 ]

  • 1軍規定 試合数 × 1.0
  • 2軍規定 試合数 × 0.8

 

① 規定投球回数の変化

 

[ 2009年以降の規定投球回数 ]

セ・リーグ パ・リーグ 備考
1990-1996 試合数×1.0 130
1997-2000 試合数×1.0 135
2001-2003 140 140
2004 138 133 2004 アテネ五輪派遣選手の特別措置
2005-2006 146 136
2007-2014 144 144 2008 北京五輪派遣選手の特別措置
2015- 143 143

 

2004年の和田毅投手はアテネ五輪派遣選手の特別措置が適用されました。
当時は規定投球回数には133回を必要でしたが、派遣期間を考慮され、128回1/3で達成しています。

[ 2004年 和田毅投手のシーズン成績 ]

19試合 10勝6敗 防御率 4.35 128回1/3

 

② 2020年の規定投球回数

 

2020年の公式戦試合数はコロナウイルスの影響で120試合となっています。
それを元に計算される2020年の規定投球回数は以下の通りです。

2020年規定投球回数 120試合×1.0 = 120回

 

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新たな指標の提案

 

よく言われることですが、「試合数×1.0」自体を変えるべきとの声があがります。
現在の野球では分業制が進んでおり、先発が長い回を投げることも少なくってきました。

そうした変化の中、数十年前に決められた基準を採用し続けることが難しくなっています。
近年、規定投球回数到達者が顕著に減少していることからも間違いない事実でしょう。

そのため、近年ではいくつかの新基準が提案されています。
[ 提案されている新基準 ]

  • 試合数×0.8
  • PR (Piching Runs) = (リーグ平均防御率-防御率)×回数÷9

 

① 「試合数×0.8」

 

いたってシンプルな案で、単純に『1.0➡0.8』に基準を下げるというもの。
現行の基準から少しだけ下げることで、今までの価値を大きく変えずに済みます

例えば、2020年を0.8の基準に変更した場合は以下のようになります。

変更した場合 120試合×0.8 = 96回

 

この基準の場合、現在の基準から約3倍ほど到達者が増加します。
最終的にはもう少し減ってくると思いますが、新基準として適当かも知れません。

ただ、そもそも基準を下げることが良いのかどうかも考えないといけません。
下げた数値に合わせ始めると、投手レベルの低下する可能性も考えられます。

 

② 「PR (Piching Runs) 」

 

これはアメリカで用いられる投手を評価する指標のようです。
プラスになるほど平均よりも優秀と評価され、マイナスになるほど平均より劣ると評価されます。

PR (Piching Runs) = (リーグ平均防御率-防御率)×回数÷9

 

元々はRSAAと呼ばれるものをベースに、失点率を防御率に置き換えて計算されています。

RSAA(Runs Saved Above Average)=(リーグ平均失点率-失点率)×回÷9

 

ただ、検索してみましたがあまり評価として使用されることも少ないように感じます。
同時に防御率が評価として疑問視されている今、防御率を含めた評価は良いのかという疑問もあります。

ライターの広尾晃氏は執筆された記事の中でPiching Runsを推奨されています。

PRの良いところは、規定投球回数にとらわれず同一リーグのすべての投手を比較できることだ。両リーグともに先発投手に交じって、救援投手の名前も上位に来る。トータルでの投手の貢献度を見ることができるのだ。 

~ 広尾晃氏 規定投球回数はもう時代遅れ?12球団で到達者はたったの17人。/ Number Web

 

 

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ここまでわかったこと

 

ここまでわかったことをまとめてみよう。

  • 規定投球回数達成者は年々減少傾向
  • 2018年からは顕著に減少傾向
  • セ・リーグとパ・リーグで大きな差はない
  • 達成回数トップは菅野投手ら4人のみ
  • 先発投手全体の投球回数も減少傾向
  • 先発投手全体の防御率も悪化傾向
  • 今後のオープナーの動向が気になる

 

今回のまとめ

 

今回は先発の投球回数を中心に話を進めてきました。
年々、規定投球回数達成者が減少していることは確かです。

近年、打者の技術は急激に向上し、長打力のある打者も増加しています。
また、投球スタイルも強い球を投げ込むスタイルに変化しつつあります。

先発ローテを固定するのも難しい時代になってきているの事実。
打者のレベルが上がれば、投手の負担はどうしても大きくなってきます。

今後はチームとしてそれをどう補っていくかも大事になるでしょう。
「第2先発」のような先発2枚を繋ぐケースも増えるかも知れません。

時代とともに変わりつつある先発投手の立ち位置。
先発の価値観の変化を楽しみながらそれぞれの投手の活躍を期待しています。

 

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